お金について考えるときに、好きな本があります。
それは、『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス著)

アリとキリギリスのお話では正しいとされたアリ。でもそのアリはいつキリギリスのように遊ぶのでしょう。
人は死ぬときに一番資産を持っていることが多く、「うまく貯める」方法は巷に溢れていますが、「うまくお金を使っていくこと」はとても難しいものです。
この本では、亡くなるときにちょうど資産を使い切れるように、うまくお金を使う提案をしています。

最近、私の両親と祖母がこの本でされている提案を知らずに行っていたことがありました。
それがとてもいいなと感じたので、記事にしてご紹介いたします。

祖母の例【生前に贈る・必要とされるときに贈る】

私には、四捨五入するともう100歳になる祖母がいます。

杖がなくても歩くことができ、毎日何かしら料理をして、食器も洗い、一人暮らしですがヘルパーなどに頼ることなく身の回りのことをこなします。
趣味程度ではありますが毎日畑に行って野菜の世話をし、全くじっとしていません。

そんな元気な祖母ですが、自分の「終わり」について年齢的に意識をしているようです。
たとえば、畑仕事なら数年後のための種は買わないようにしています。
私の母が定期的に祖母の家を訪れるようにしているのですが、都度使っていないものを整理し少しずつ処分しています。まだまだものが多いですが…。

そしてある日、子と一緒に祖母のもとに遊びに行った私に、封筒を渡してくれました。
中を見ると、結構な金額のお金が。
「自分のために使うんやで」。
私には夫もこどももいますし、日々の生活費はかさみますが、家族のためではなく自分のために使いなさいとしっかり言われました。

『DIE WITH ZERO』の本で、印象に残った話のひとつ。
必要とされる時期に贈る】
を思い出しました。

ひとは寿命が長くなり、財産を相続する際、財産を引き継ぐときにはもう高齢であることが多い。
そのときには、結婚や出産(新生活への準備)、家の購入、子の学費など、お金が真に必要な時期は過ぎてしまっていたりするのです。
だから、亡くなってから財産として相続させるよりも、もっと前にお金を渡すことで、愛する家族がもっと有意義にお金を使いそれに感謝することができるのです。

私はまだまだお金が必要な時期。
なんなりと使い道はあります。

さらに、もらったときの「自分のために」ということばが響きました。

仕事家事育児に翻弄される日々。
こどもは幼くいくらでも手がかかり目が離せません。
なにかと出費もかさみます。
バタバタと流されるように過ごしていくうちに、なんだか自分の趣味ってなんだったろうかと思ってしまうほど。

この時期にある方々はそうだと思うのですが、どうしてもこどもが優先になり、なんとなく自分のことはあとまわしに。
余った時間になにか自分のしたいことを、と思っていても寝かしつけで寝落ちしてしまったり、疲れてもういいやとなってしまったり。
最近になって、そうした時間を捻出して積極的になにかやりたい!と思い始めていたのでした。

祖母は、そんな私にエールをくれたかのようでした。

「自分のために」使う、まとまったお金。
しばらく本当にわくわくして、色々考えました。

財テク的には、投資などにまわすのが賢いのでしょう。
でもちがう気がして。

結局、

毎月3000円を、本と花に使う

ことに決めました。
すると、それを数年間続けることができます。

本は、「これ買うと高いかなあ」と思ってやめてしまったり、サブスク(KindleUnlimited)で読めるものや図書館にあるものから次読むものを探してしまっていることが多かったからでした。
興味があるから。表紙に惹かれたから。
そうした出会いを大切に、たくさん本を読みたかったのです。

花は、自分の理想の暮らしのイメージにずっとあるのに、実際は買えていないのがわかっているから。
散らかってるからとかこどもがいじるかもとか、ちょっと高いかなとか、理由をつけてめったなことでは買いませんでした。
けれど、「丁寧な暮らし」「身近に花や植物のある暮らし」はずっと私のなかにある将来望む暮らし。
これを機に、小さく始めてみようと思いました。
1000円しない、なんならワンコインくらいで買えるお手軽ブーケで可愛いものはたくさんあります。
それを繰り返し買ってみたい。

これらを続けたら、少しずつ自分が変われる気がします。
おばあちゃん、大切なお金をありがとう。

両親の例【思い出は複利】

父と母は還暦を超え、嘱託やパートのような働き方をしていますが以前より自由になりました。

昔から仲が良い父と母。
ちょこちょこと旅行に行っていたのですが、あるとき

「大谷を観に行くことにした」

と言うではありませんか。

大谷とは、スポーツにどれほど疎くてもわかる、野球選手の大谷翔平。

両親はアメリカのメジャーリーグをテレビで観るのを日課にしています。
日本人である大谷選手だけでなく、チームメイトもバッチリ把握していて妙に詳しい。
ふたりともハマっていて、日々の楽しみでもあり共通の話題にもなっているようです。

「清水の舞台から何回か飛び降りたわ」

そう言いながら、ガイドブックを買い、リサーチをしていてとても楽しそうです。
節約せななあと言いつつ特に普段とは変わらない生活ぶりに、昔から将来のためにと我慢することをせずボーナスが入れば食べに行ったりパーッと使う親だったなあと思い出します。

『DIE WITH ZERO』で書かれていたこと。
思い出は複利】。

ものは買ったらそれでおしまいだけれど、お金で「経験」をすると、何度も思い出してそのたびに幸せになれる。
確かに、学生時代の友達に会うと何度も話す共通の体験があったりします。
貧乏旅行とか、失敗談とか、必ずしもプラスでないようなことを懐かしく思っては笑いあえるものです。

両親は、ベタな観光名所をまわり、大谷翔平の活躍を見届け、ビッグサイズのアメリカンな食事を堪能するでしょう。
円安なので色んなものの値段にびっくりし、カルチャーショックを感じたり、日本語が上手く通じなかった失敗談などもできるでしょう。
それを私や周りの友達に話し、もりあがり、また行きたいなあなんて言うのでしょう。
もう何度も清水の舞台を飛び降りるわけにはいきませんが。

もう「老後」に足を突っ込み始めている両親。
でも、「もしものために」「念のため」の貯金よりは、「今やってみたいこと」にお金をかける両親。
出会うたびに、こんなことしたあんなことしたと話題がたくさん出てくる両親。

将来が心配だからと節約をして我慢して変わらない慎ましい日々を過ごし続けるより、楽しく過ごしているほうが見ているこちらも気持ちがいいものです。
別に相続するお金なんて期待していないのだから、必要以上に貯めなくていい。

いいお金の使いかたをしているなと感じますし、こんな感じで使っていけたらいいなと思います。

最後に【お金を使うタイミングを考える】

一般には、亡くなるときに資産が一番多くなりがちなんだそうです。

「不安」を解消するための貯金をやめるタイミングを決めること。上手くお金を使っていくこと。
これらは意識していないとなかなかできません。

特に年齢を経ていくと、お金を消費する意欲も減り保守的にもなり、貯めていく一方になりがちです。

どれくらいあったら暮らしていけるのか。
なににお金を使えば満足度が高いのか。
子や孫がいるとしたら、お金を渡す適切なタイミングはいつなのか。

こうしたことを、少しずつでも考えていきたいなと思います。