37週のある日、それは突然訪れました。
破水と入院準備
朝6時頃。
上の子が起きてきました。
ここ数日のルーティンで、これくらいに起きてから私を起こし、一緒にくっついてごろごろ。
ときには二度寝したりしながらテレビの「おかあさんといっしょ」が始まるのを待ちます。
一緒の枕で寝たいという上の子を迎え入れ、密着。
起こしておいて早々にうとうとする上の子に、ちょっとトイレ言ってくるねと伝えて離れました。
トイレへの道、少し尿漏れ感。
そんな切羽詰まってなかったけどと思いながら用を足すと、懐かしいあの感触。
破水でした。
37週。
正期産に入っているのでいつうまれてもおかしくない時期であり、経産婦だから早めかもしれないとは思っていましたが、予想を裏切る早さでした。
ネットで以前、39-40週で大体全体の3分の2の妊婦が出産すると見たことがありますが、私は3分の1の方に入りそうです。
入院バッグ、あらかた中身用意しておいて良かった。
だばだばと出たスイカの汁のような羊水を見ながら、
「前回も破水スタートやったしなあ。今回も1日経ってから陣痛やろか。お父さんに車出してもらうようにお願いして、病院に電話。入院バッグにタオルと飲み物入れよう。車ん中で夫に連絡して……。」
と頭は意外と冷静でした。
途切れなくだらだらと滴る羊水を受け止めるために取り急ぎナプキンを付け、早起きしてリビングにいた父に報告。
上の子の寝ている部屋の灯りを点け、入院バッグを整えます。
「娘ちゃん、めがほそい~!なんでぇ~!」
まだ眠くて目がしっかり開かない上の子がぐずりながらこっちにしがみついてきますが、やるべきことを考えながら準備している身なので余裕はありません。
手短に、赤ちゃんがうまれるみたいだから病院に行くと伝えます。
別室でテレビを観ていた母にも破水を告げ、上の子をみてもらいつつ身支度。
病院に連絡し、到着予定を告げます。
時間が中途半端なため病院で朝食が出せないということだったので、簡単に食事。
上の子も「娘ちゃんも!」とヨーグルトを食べます。
もともとの出産予定が8月中旬だったので、上の子には「赤ちゃん8月にうまれるよ」と伝えていました。
ところが破水したのは7月末だったため、なんで?と気になる様子。
「赤ちゃん、お父さんお母さん〇〇(上の子)ちゃんに早く会いたいってなったんちゃう?」と言うと、「まだなくだけやのにね」と分かってるのか分かってないのかという台詞。
妙に笑えて、落ち着かない気持ちがこういうので少しほどけます。
「あかちゃんのおなまえきめないとね」と、たまに言うやりとりをまたここで。
でも今回は、「お母さんがうむからお母さんがきめる」という趣旨のことを初めて言っていました。
出産が前よりもリアルに感じられるようになったんだなと少し感心。
「なるべくはやくかえってきてね」と上の子に言われつつ、病院に向かいました。
立ち会い予定の夫には念のため先に電話。
明らかに電話で起きたという感じで慌てていました。
たまたま夫が休みの日だったので、上の子が寂しがるだろうと考え一旦早めに実家に来てもらうことにしました。
母から「お父さんがくるのを楽しみにしてる」「娘ちゃんが(お手製の)お手紙握りしめてテレビ観てる」という上の子の様子を聞き、切なくなる私と夫でした。
このとき、本当に入院バッグを準備しといて良かったと思いました。
2人目だからと、取りかかりが初産の時より遅かったので危ないところでした。
破水状態で荷造りは大変ですし、事態がよく分かっていない上の子がずっとまとわりついてきて落ち着きませんでした。
入院バッグは、早めに準備!
入院
外来が開いていない時間帯だったので、時間外用出入り口から中へ。
車を出して荷物を運んでくれた父とはここで別れます。
破水の確認と着替え。
ナプキンから、病院で受け取った産褥パッドへ付け替え。
検査で破水であることが確定したので、機械をつけてNSTを行います。
胎児の心拍数と子宮の収縮をみるのですが、特に問題なし。
抗生剤を服用して、病院からもらえる入院用品を受け取り入院となりました。
陣痛が来ていないので、ベッドで横になります。
血圧や体温を測る以外は特にやることがないので、しばしのんびり。
途中、実習生が出産の見学および産後の血圧測定などをしてもいいかという打診がありました。
ああ、上の子の時もこんなんあったなぁと思いつつOKを出しました。
そのときに、ひとり男性がいるが出産の見学は皆頭のほう側からだし、男性には授乳のところを見せないのでと言われました。
デリケートな問題ですもんね。
同時に、こういうところに神経質にならざるをえない分野なんだなと改めて感じます。
男性は絶対困ると断るひともいるんでしょうね。
なにせあられもない姿で余裕のない状態をさらけだすときですから……。
少ししてから、実習生さんが挨拶に来ました。
上の子の出産がどんなだったかなど、いくつか聞かれたので覚えてる部分だけお話ししました。
ちょっとでもなにかプラスになったらいいな。
またしばらくしてからお昼ごはん。
そのくらいから、じんわり骨盤が痛くなる感覚がたまに。
陣痛に繋がるかな?と考えつつ、手持ち無沙汰なのでKindleで読書したりスマホをいじったりしながら過ごしました。
午後2時頃。
再びNSTにて経過を観察します。
骨盤あたりの痛みが定期的になってきました。
10-15分感覚くらいでしょうか?
でもまだ生理痛くらいの、我慢できる程度の痛みです。
子宮口は指2本、3cmほどとまだ時間がかかりそうとの見立て。
午後3時頃。
夫と面会をしました。
前回の上の子の出産時は破水した翌日になってから陣痛が来たという経緯があり、面会直前の見立てもあったので夫婦ともに今日の夜にしっかりとした陣痛が来てうまれる感じかなあと考えていました。
気兼ねなく泊まれるように、夫は一旦帰り着替え等を用意して私の実家にてスタンバイすることにし、またあとでと別れました。
午後3時半頃。
面会が終わったあたりからどんどん痛みが強くなっていきました。
5分くらいの間隔で、今までの生理痛的な痛みが下半身全体に広がり響く感じ。
動くのが辛くなってきたのでナースコール。
午後4時頃。
内診をしてもらいました。
グリグリされるのが痛い……💦
「開いてきてる!子宮口ペラペラ!」と言われたのですが、ペラペラがどのようなものかよくわからずハイ……としか返せませんでした。
でも看護師さんの口ぶりと痛みが、いよいよという気持ちを呼び起こします。
そうして分娩室に移動することになりました。
分娩室
分娩台に乗り、NSTのベルトや点滴を装着し、足を開いた状態にします。
そうこうしている間に陣痛が進んでいき、余裕がなくなってきました。
急激にお産が進んでいき、午後4時半頃に夫に立ち会いで来て欲しいと電話。
私の切羽詰まった苦しい声にさぞ夫はびっくりしたでしょう。
(陣痛の合間の大丈夫な時間に電話をかけたのですがそのときに夫が出ず、折り返しが陣痛期中だったのでしんどい声を出すことに……。)
全然夜なんかじゃなかった。
多分うまれるのに間に合わないなあ、と思いながら気持ちを切り替えます。
電話を切ってそれほど時間を置かず、自然にいきみたい感じの痛みへ移行。
この全身が震える感じの痛みは、上の子の出産のときにもあったものでした。
うまれる前の1番辛かった段階です。
子宮口は全開へ。
痛みで毎度息が詰まってしまい、息をゆっくり吐くよう指導を受けます。
とうとう最終段階。
痛みの波にあわせ、レバーを握りおへそ部分に顔を向けながらいきんでいきます。
少しずつ現れる、何かが出て来る感触と、生々しい温かさ。
わかる。
赤ちゃんがもうすぐ出てきてくれる。
あと少し、あと少し。
力を振り絞ると、ずるりと赤ちゃんがうまれたのがわかりました。
一気に引いていく痛みの波に少し冷静になった視界。
静かな赤ちゃんがお医者さんにぺちぺちと叩かれていました。
数秒間頭を空っぽにして眺めていると、たどたどしいながらも一生懸命な泣き声が響きました。
「終わった」「良かった」の思いがじんわりと染みてぼんやりしていると、看護師さんが赤ちゃんをおなかにのせてくれました。
ああ、可愛い。
うまれたてのわが子は、なによりも可愛く愛しくて、温かくて、軽くてでも重みがありました。
安静
赤ちゃんがうまれたのが午後5時前。
そこから胎盤も出て出産終了。
その後会陰縫合の処置がありました。
部分的な麻酔が打たれ、針と糸がじじーっと通っていく不思議な感触が続きます。
スピード出産のため会陰がうまく伸びず裂けてしまったとのこと。
肛門近くまで裂けてるから清潔にするよう気を付けてと言われました。
そうして、しばらく経過観察のため姿勢を変えず2時間ほど安静にすることに。
午後5時半頃、夫が分娩室へ。
やっぱり間に合いませんでしたが、来てくれるとやっぱり嬉しいしホッとします。
赤ちゃんを抱っこさせてもらい、満面の笑みの夫。
頑張ったと、私の手を握ってくれた夫。
その姿が見られて、幸せな気持ちになりました。
そこからはしばらく談笑タイム。
コットにいる赤ちゃんを眺めながら、色んな話をしました。
面会のことから、職場への連絡のこと、ただの近況、上の子の様子、くだらない話も。
色々体はダメージを負っていながらも「母子ともに健康」で出産を終えたからこその、尊い日常です。
赤ちゃんの名前も、このときに候補から選んで確定しました。
「おちびちゃん」から、願いを込めた一人前の名前へ。
3人家族から、4人家族へ。
今までの暮らしが懐かしく愛おしく、これからの暮らしが賑やかに楽しくなっていく。
これからよろしくね。